「まさか、あのスタッフが辞めるとは思わなかった」
スタッフから突然退職を申し出られ、驚いた経験のある院長や責任者もいるでしょう。
しかし、本人にとっては突然ではないことが少なくありません。
退職を考え始め、悩み、それでもしばらく勤務を続け、最終的に退職を決断する。その過程で、以前とは違う行動や態度が表れていることがあります。
もちろん、「この行動をしたら必ず辞める」というサインがあるわけではありません。本人の性格や事情によっても違います。
それでも、日頃からスタッフを見ていれば、変化に気づけることがあります。
今回は、辞めそうなスタッフに見られやすい3つの特徴と、医院側がどのように対応すればよいのかを考えてみましょう。
辞めそうなスタッフ 3つの特徴
1.以前より発言や提案が減ってくる
最初に注意したいのが、スタッフからの発言が少なくなることです。
- ミーティングで意見を言わなくなる
- 改善提案をしなくなる
- 不満さえ言わなくなる
- 「どちらでもいいです」が増える
以前は「こうした方がいいと思います」「ここを変えてほしい」と言っていたスタッフが、急に何も言わなくなる。これは単に不満がなくなったとは限りません。「言っても変わらない」「もう自分には関係ない」と考え始めている可能性もあります。
愚痴や不満があるうちは、まだ医院に対して改善を期待していることもあります。注意したいのは、不満を言っていたスタッフが突然何も言わなくなったときです。
2.仕事や人間関係から少しずつ距離を置く
退職を考えているスタッフは、職場との関わり方にも変化が表れることがあります。
- 必要最低限の仕事だけをするようになる
- 他のスタッフとの会話が減る
- 新しい仕事への関心が薄くなる
- 将来の予定について曖昧な返答が増える
以前なら協力していた仕事にも「自分の担当ではないので」と関わらなくなったり、新しい取り組みを説明しても反応が薄かったりする。こうした変化が続くのであれば、少し気にして見た方がよいでしょう。
ただし、単純に忙しい、体調が優れない、家庭の事情があるなど別の理由も考えられます。一つの行動だけで「辞めるつもりだ」と決めつけず、「以前と比べて何が変わったのか」を見ることが重要です。
3.仕事への「期待」がなくなっている
退職の兆候というと、遅刻が増える、態度が悪くなるといった分かりやすい変化を想像しがちです。
しかし、真面目なスタッフほど退職を決めても最後まできちんと仕事をすることがあります。
そのため、勤務態度だけでは分からないケースもあります。
注目したいのは、「この医院でもっとこうなりたい」「この仕事ができるようになりたい」「ここを改善したい」といった未来についての話が減っていないかです。
個人面談で今後の目標を聞いても具体的な答えがない。研修や新しい役割を提案しても関心を示さない。数か月先の医院の話をしても自分事として受け止めていない。
このような変化があれば、本人の中で医院との将来を描きにくくなっている可能性があります。
退職のサインは「仕事をしなくなること」だけではなく、「この職場でこれからどうしたいか」が見えなくなることにも表れます。
変化に気づいたら「辞めるの?」と聞かない
気になる変化を感じたときには、本人と話す機会をつくりましょう。
- 最近の仕事について聞く
- 困っていることがないか確認する
- 職場への要望や不満を聞く
- 今後やってみたいことを聞く
いきなり「辞めようと思ってる?」と聞けば、本人も警戒します。そうではなく、「最近どう?」「仕事で困っていることはない?」「何か変えてほしいことはある?」と現在の状態を聞きます。そして、出てきた話をすぐ否定したり説得したりせず、まず聞くことが大切です。
すでに退職の意思が固まっていることもありますが、まだ悩んでいる段階であれば、医院側が改善できる問題が見つかることもあります。退職を止めることを目的にするのではなく、本人が現在どのような状態なのかを把握することから始めましょう。

まとめ
スタッフの退職を完全に防ぐことはできません。
結婚、転居、家庭事情、キャリアの希望など、医院側ではどうすることもできない理由で退職することもあります。
だからといって、「辞める人は仕方ない」で終わらせる必要もありません。
以前より意見を言わなくなった。周囲や仕事との距離が広がった。この医院での将来について話さなくなった。
こうした変化に気づいたら、一度本人と話してみる価値があります。
大切なのは、退職のサインを探すためにスタッフを監視することではありません。
普段からスタッフの発言や仕事への姿勢を見て、「いつもと違う」に気づける関係をつくっておくことです。
そして、退職者が出たときには本人だけの問題として終わらせず、医院側に改善できることがなかったかも振り返ります。
退職届を出されてから初めて話を聞くのでは遅いことがあります。普段から話せる関係をつくり、小さな変化に気づくことが人材定着の第一歩です。
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