「勉強したいスタッフには研修へ行ってもらっています」
「必要だと思ったことは、自分で勉強してほしい」
スタッフの自主性を尊重し、本人の意欲に任せて教育を行っている医院もあります。もちろん、自ら学ぼうとする姿勢は大切です。しかし、医院として必要な知識や能力まで本人任せにしてしまうと、スタッフによって成長に大きな差が生まれます。
積極的に勉強する人は成長する一方、何を学べばよいのか分からないスタッフはそのままになる。その結果、医院全体として必要な能力が揃わなくなることもあります。
スタッフ教育は、本人のためだけに行うものではありません。医院が患者さんへ一定の品質の医療サービスを提供するためにも必要なものです。
今回は、スタッフ教育を本人任せにしてはいけない理由について考えてみましょう。
スタッフ教育を本人任せにしてはいけない理由
自主性と「放任」は違う
本人の自主性を大切にすることと、教育をすべて本人へ任せることは同じではありません。
- 医院として必要な能力を明確にする
- 職種や役割ごとに教育内容を決める
- 本人の希望も教育へ取り入れる
- 習得状況を定期的に確認する
「自分で勉強してください」だけでは、何をどこまで学べばよいのか分からないスタッフもいます。医院側が必要な能力や到達してほしいレベルを示し、その中で本人の興味や将来像も取り入れることが重要です。
医院が方向を示し、本人が主体的に取り組める状態をつくることが、本来の自主性につながります。
学ぶ人と学ばない人の差が広がる
教育を本人任せにすると、もともと学習意欲の高いスタッフほど成長します。
- 教育機会を公平に用意する
- 必要な研修は医院側から指定する
- 習得すべき内容を明確にする
- 学習結果を実務で確認する
自主的に外部研修へ参加したり、専門書を読んだりするスタッフがいる一方で、日々の業務だけで精いっぱいというスタッフもいます。その状態を放置すれば、同じ職種でも知識や対応力に大きな差が生まれます。
患者さんから見れば、誰が担当しても同じ医院のスタッフです。個人差をできるだけ小さくすることも、組織として教育を行う重要な目的です。
医院が求める成長と本人が望む成長は同じとは限らない
スタッフが熱心に勉強しているからといって、医院として必要な能力が身についているとは限りません。
本人が興味を持つ分野と、現在の医院が強化したい能力が異なることもあります。専門的な知識を深めたいスタッフがいる一方で、医院としては患者さんへの説明力や新人指導、業務改善などを身につけてほしい場合もあるでしょう。
だからこそ、教育について院長やリーダーとスタッフが話し合う必要があります。
「今できていること」「今後身につけてほしいこと」「本人が学びたいこと」を整理し、その重なる部分を増やしていくことが理想です。
教育を医院からの一方的な指示にする必要はありません。しかし、本人の希望だけに任せるのでもなく、医院の目標と本人の成長を結び付けることが、組織としてのスタッフ教育には必要なのです。
教育を仕組みとして継続する
スタッフ教育は、そのときの院長や本人の思いつきで行うのではなく、継続できる仕組みにすることが大切です。
- 年間の教育計画を立てる
- 個人ごとの目標を設定する
- 定期的に習得状況を確認する
- 学んだ内容を院内で共有する
例えば、半年ごとに力量を確認し、次に習得する業務や必要な研修を決める方法があります。外部研修へ参加した場合には、内容を院内で共有することで、一人の学びを医院全体へ広げることもできます。
「研修へ行かせて終わり」ではなく、学んだことが実際の業務で活かされているかまで確認することが重要です。

まとめ
スタッフの自主的な学習は大切ですが、医院に必要な教育まで本人任せにしてしまうと、スタッフ間の能力差が広がり、医院として必要な能力が身につかない可能性があります。
まず医院として「どのようなスタッフになってほしいのか」「何ができるようになってほしいのか」を明確にする。そのうえで、現在の力量と本人の希望を確認し、必要な教育を計画することが重要です。
スタッフ教育は、本人だけの責任ではありません。医院が成長の方向を示し、スタッフが主体的にそこへ向かえる環境をつくることが、組織としての人材育成です。
一度、現在のスタッフ教育を振り返ってみてください。「勉強したい人は自分で勉強する」という状態になっていませんか?
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