スタッフを育成していると、
「男性スタッフにはこう教えた方がいい」
「女性スタッフはこういうところに気を配った方がいい」
と、性別による違いを意識することがあります。
実際、コミュニケーションの取り方や仕事への価値観などについて、男女の傾向が語られることは少なくありません。
では、スタッフ育成でも性別による特性を考慮した方がよいのでしょうか。
結論からいえば、性別を一つの参考情報として考えることはあっても、それを個人の育成方法を決める基準にするべきではありません。
同じ性別でも、性格、経験、得意不得意、仕事への考え方は当然違います。
今回は、スタッフ育成において性別をどのように捉え、一人ひとりに合った育成へつなげればよいのかを考えてみましょう。
スタッフ育成に性別の特性を加味するべきか?
性別による「傾向」と目の前の個人は分ける
性別による特徴を考える際には、一般的な傾向と個人を混同しないことが大切です。
- 性別だけで性格を判断しない
- 得意不得意を実際の行動から見る
- 本人の価値観や希望を確認する
- 同じ基準で仕事を評価する
例えば、「女性はコミュニケーションが得意」「男性は数字や論理に強い」といった先入観で役割を決めれば、本来持っている能力を見落とす可能性があります。人と話すことが苦手な女性もいれば、細かな気配りが得意な男性もいます。
属性から本人を想像するのではなく、実際にそのスタッフがどのように仕事をしているのかを見ることが育成の基本です。
「教え方」は性別より本人の特性に合わせる
同じことを教えても、理解しやすい方法はスタッフによって違います。
- 口頭説明が理解しやすい人
- マニュアルを読んだ方が分かる人
- 実際にやって覚える人
- 理由を理解すると行動できる人
こうした違いを「男性向けの教え方」「女性向けの教え方」と分ける必要はありません。新人教育をしていると、一度説明すればできる人もいれば、何度か練習して身につく人もいます。注意されたときにすぐ切り替えられる人もいれば、少し時間をかけて考える人もいます。
重要なのは性別ではなく、そのスタッフがどのように教えられると理解し、行動を変えやすいのかを知ることです。
性別を意識する必要がある場面まで無視しない
一方で、「性別は一切関係ない」としてしまうのも現実的ではありません。
ライフステージや家庭で担っている役割、身体的な事情などによって、働き方について本人から相談が出ることはあります。
ただし、ここでも「女性だからこうなるだろう」「男性ならこうするべきだろう」と医院側が先回りして決めるのではなく、本人の状況や希望を確認することが重要です。
例えば、結婚した女性スタッフに対して「いずれ出産するだろうから重要な仕事は任せない」と考えることも、男性スタッフに対して「家庭より仕事を優先できるだろう」と考えることも、本人の意思を確認していません。
必要な配慮は行う。しかし、性別を理由に本人の役割や成長の機会を最初から狭めない。
性別を無視するのでも、性別で決めるのでもなく、本人の事情を個別に確認する姿勢が必要です。
評価と期待する役割には共通の基準を持つ
スタッフ育成では、医院として求める基準を明確にしておくことも重要です。
- 仕事の評価基準を明確にする
- 男女で求めるレベルを変えない
- 本人の能力に応じて役割を任せる
- 成長機会を性別によって制限しない
「男性だからリーダーを任せる」「女性だから患者対応を任せる」といった役割分担ではなく、必要な能力と本人の適性から判断します。同様に、注意や指導についても「女性だから強く言わない」「男性だから多少厳しく言っても大丈夫」と変えるべきではありません。
伝え方は個人に合わせても、求める仕事の基準は公平である必要があります。育成方法には個別性を持たせ、評価基準には一貫性を持たせることが大切です。

まとめ
スタッフ育成を考えるとき、性別による違いを完全に無視する必要はありません。
しかし、「男性はこう」「女性はこう」という一般論を、そのまま目の前のスタッフへ当てはめることには注意が必要です。
スタッフ一人ひとりには、性格、経験、能力、価値観、家庭環境、将来への希望など、性別だけでは説明できない多くの違いがあります。
だからこそ、本人の仕事ぶりを見て、話を聞き、どのような教え方が合うのかを考えることが必要です。
また、本人から性別やライフステージに関係する相談があれば個別に対応しながらも、それを理由に成長の機会まで制限しないことも大切です。
スタッフ育成で見るべきなのは、「男性スタッフ」「女性スタッフ」というカテゴリーではなく、目の前にいる一人のスタッフです。性別から人を判断するのではなく、その人を見た結果として育成方法を変えていきましょう。
一度、自院のスタッフ育成を振り返ってみてください。「男性だから」「女性だから」という先入観で、本人の適性や可能性を決めてしまっていることはありませんか?
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