自費率20%を目指す前に確認したい医院の基本体制~目標数字だけでは自費診療は増えない~

「自費率を20%まで上げたい」

医院経営の目標として、自費率を設定することがあります。

保険診療だけでなく、患者さんの選択肢として自費診療を提供し、その割合を高めていくことは経営上の重要なテーマの一つです。

しかし、「今年は自費率20%を目指そう」と数字を掲げただけでは、自費診療が増えるわけではありません。

そもそも患者さんへ自費診療の選択肢が適切に説明されているのか。スタッフが自費診療について理解しているのか。説明する資料やタイミングは決まっているのか。

こうした基本的な体制が整っていなければ、目標だけを設定しても現場は動きません。

今回は、自費率20%という目標を掲げる前に確認しておきたい医院の基本体制について考えてみましょう。


目次

まず現在の自費率を把握する

目標を設定する前に、現在の状況を正確に把握する必要があります。

例えば、現在の自費率が18%の医院と5%の医院では、20%へ到達するために必要な取り組みはまったく違います。また、自費売上全体だけを見るのではなく、どの診療・施術が自費売上を構成しているのかを確認することも重要です。

まず現状を数字で把握し、「どこをどれだけ伸ばす必要があるのか」を明確にすることが出発点です。


患者さんへ選択肢をきちんと提示できているか

自費診療を選ぶかどうかを決めるのは患者さんです。しかし、その前提として必要な情報が提供されていなければ、患者さんは比較して選ぶことができません。

「高いと思われるのではないか」「営業していると思われたくない」とスタッフが自費診療の説明を避けてしまうことがあります。しかし、説明しないことと押し売りをしないことは別です。

必要な選択肢を公平に提示し、その中から患者さん自身に選んでもらう体制をつくることが重要です。


スタッフによって説明内容が違っていないか

自費診療について院長は詳しく説明できても、スタッフが十分に理解していない医院があります。

例えば患者さんから、「保険のものと何が違うのですか?」と聞かれたとき、スタッフによって回答が違ったり、「詳しくは先生に聞いてください」で終わったりすれば、患者さんは判断するための情報を十分に得られません。

もちろん、診断や治療方法についてスタッフが医師と同じ説明をする必要はありません。

しかし、自院でどのような自費診療を提供しているのか、どのような特徴があるのか、費用はどの程度なのかといった基本情報は、関係するスタッフも理解しておく必要があります。

さらに、誰がどこまで説明するのかという役割分担も重要です。

院長だけが説明できる状態ではなく、医院全体で患者さんの意思決定を支援できる体制をつくることが、自費率向上の土台になります。


説明を個人の能力だけに頼らない

自費診療の説明が上手なスタッフがいると、その人が担当した患者さんだけ自費を選択する割合が高くなることがあります。

スタッフ個人の話術だけに頼るのではなく、写真や比較資料、料金表などを活用し、誰が担当しても必要な情報を提供できるようにすることが重要です。

また、説明した患者さんのうち何人が自費を選択したのか、どのような質問が多かったのかを確認すれば、説明方法そのものを改善できます。

自費率を継続的に高めたいのであれば、「説明が得意な人をつくる」だけでなく、「説明できる仕組みをつくる」という視点が必要です。


自費率20%という数字を目標にすること自体に問題はありません。

しかし、現在の自費率も把握せず、患者さんへの説明方法やスタッフ教育も整っていない状態で、「もっと自費を増やそう」と現場へ求めても成果にはつながりにくいでしょう。

まず現在の数字を把握する。そして、患者さんへ選択肢を適切に提示できているか、スタッフが自費診療を理解しているか、説明内容や役割分担が決まっているかを確認します。

その基本体制を整えたうえで、説明件数や選択率などを確認しながら改善していくことが必要です。

自費率はスタッフに「売ってもらう」ことで高める数字ではありません。患者さんが自分に合った治療を選択できる環境を整えた結果として高めていくことが大切です。

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