「今年は自費売上を前年比120%にする」
「自費率を20%まで高める」
医院経営では、自費診療について具体的な数値目標を設定することがあります。
目標を明確にすることは大切です。しかし、毎月数字を確認しているのに、なかなか自費売上が伸びない医院もあります。
その原因の一つが、売上目標は決まっていても、その数字を達成するために何をするのかが決まっていないことです。
自費売上は、「もっと自費を増やそう」とスタッフへ伝えるだけで増えるものではありません。
今回は、自費診療の目標を立てても売上が伸びない理由と、目標を具体的な行動へつなげる考え方について解説します。
自費診療の目標を立てても売上が伸びない理由
売上目標だけを決めている
「自費売上○○万円」という数字だけでは、現場は何をすればよいのか分かりません。
- 現在の自費売上を把握する
- 目標との差を明確にする
- どの診療・治療・施術を伸ばすのか考える
- 必要な取り組みを具体化する
例えば、自費売上を現在より月50万円増やしたいのであれば、その50万円をどのように生み出すのかまで考える必要があります。
すべての自費診療を漠然と増やそうとするのではなく、現在の実績や患者ニーズなどを確認しながら、どの分野に取り組むのかを明確にすることで具体的な行動を考えやすくなります。
患者さんへの説明状況を把握していない
自費診療の売上だけを見ていても、その前段階で何が起きているのかは分かりません。
- 選択肢を説明できているか
- どのくらいの患者さんに説明しているか
- 説明後の反応を確認する
- 選ばれなかった理由も把握する
例えば、自費診療を選ぶ患者さんが少ないとき、「価格が高いから」と考えてしまうことがあります。しかし、そもそも十分に説明されていないのかもしれません。
反対に、多くの患者さんへ説明しているのに選択されていないのであれば、説明内容や提供している自費診療そのものを見直す必要があるかもしれません。
売上という結果だけではなく、その手前にあるプロセスを見ることが重要です。
「自費を増やしてほしい」ではスタッフは動けない
院長が自費売上の目標を理解していても、スタッフが「自分は何をすればよいのか」を理解していないことがあります。
「今年は自費に力を入れます」
「自費率20%を目指します」
これだけでは、受付、看護師、歯科衛生士、その他のスタッフが日々の仕事をどう変えればよいのか分かりません。
必要なのは、それぞれの役割を具体的にすることです。
例えば、患者さんから質問された際に基本的な情報を案内できるようにする、説明資料を適切なタイミングで渡す、関心を示した患者さんを医師へつなぐなど、職種や医院の体制によってできることは異なります。
重要なのは、スタッフに自費診療を「売らせる」ことではありません。
患者さんが必要な情報を得て、自分に合った選択肢を検討できるよう、医院全体で支援することです。
目標と実績の差を分析していない
目標を設定したら、定期的に実績との差を確認する必要があります。
- 月ごとの目標と実績を比較する
- 自費診療の内容別に確認する
- 説明件数や選択状況を見る
- 改善策を決めて再度確認する
例えば、月100万円を目標にして実績が70万円だった場合、「30万円足りなかった」で終わらせてはいけません。
説明する機会そのものが少なかったのか、説明しても選択されなかったのか、特定の診療・施術だけが落ち込んだのかなど、原因を分けて考えます。
そして、説明資料を改善する、スタッフ教育を行う、患者さんへの案内方法を変えるなど、次の行動を決めます。
目標→実績確認→原因分析→改善→再確認という流れを繰り返して初めて、目標数字が経営管理に使えるようになります。

まとめ
自費診療の目標を設定することは、自費売上を伸ばすためのスタートに過ぎません。
現在の自費売上を把握し、どの分野を伸ばすのかを考え、患者さんへの説明状況を確認する。そして、院長だけでなくスタッフも含めて、日々どのような行動をするのかまで具体化する必要があります。
また、結果が目標に届かなかったときに、「もっと頑張ろう」で終わらせないことも重要です。どの段階に問題があったのかを分析し、改善策につなげます。
自費売上の目標は「達成したい数字」を決めるだけでは不十分です。「その数字をどうやってつくるのか」まで決めて初めて、経営目標として機能します。
一度、自院の自費診療の目標を確認してみてください。「自費売上○○万円」という数字の先に、具体的に何をするのかまで決まっていますか?
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