「患者満足度をもっと高めたい」
そう考えたとき、多くの医院では患者さんへの接遇や待ち時間、説明の分かりやすさ、院内環境などに目を向けます。
もちろん、患者さんが実際にどう感じているのかを確認し、改善することは重要です。
しかし、もう一つ確認しておきたいものがあります。
それが、医院で働くスタッフの従業員満足度です。
スタッフが仕事に不満を抱え、職場の人間関係に疲れ、院長や医院への不信感を持っている状態で、「患者さんにはいつも笑顔で丁寧に接してください」と求め続けても限界があります。
患者満足度と従業員満足度は同じものではありませんが、まったく無関係に考えることもできません。
今回は、患者満足度を高めるうえで、なぜ従業員満足度も確認する必要があるのかを考えてみましょう。
患者満足度を高めるなら従業員満足度も確認すべき理由
スタッフの状態は患者対応に表れる
患者さんと直接接しているのは、院長だけではありません。
- スタッフが安心して働けているか
- 人間関係に大きな問題がないか
- 業務負担が偏っていないか
- 医院に対する不満が蓄積していないか
スタッフが職場に強い不満を持っていても、最初は仕事として患者さんへ丁寧に対応するでしょう。しかし、その状態が長く続けば、表情、声のトーン、患者さんへの気遣いなどに少しずつ表れることがあります。特に忙しいときやトラブルが起きたときほど、普段抱えているストレスが対応に出やすくなります。
患者さんへの接遇だけを改善しようとするのではなく、その接遇を行っているスタッフがどのような状態で働いているのかを見ることも必要です。
「患者さんのために」だけでは続かない
医院ではスタッフに対して、「患者さんのために」という言葉がよく使われます。
- 患者さんのために笑顔で対応する
- 患者さんのために丁寧に説明する
- 患者さんのために周囲へ気を配る
- 患者さんのためにより良いサービスを考える
どれも大切なことです。しかし、スタッフ自身が大切にされていないと感じている職場で、「患者さんを大切にしてください」と求め続けても説得力がありません。意見を言っても聞いてもらえない、頑張っても評価されない、一部のスタッフに負担が集中している。
このような問題を放置したまま接遇だけを求めれば、「患者さんには気を遣うのに、スタッフには気を遣わない」と感じることもあるでしょう。
患者満足を継続して高めるためには、患者さんを大切にすることと、働くスタッフを大切にすることの両方が必要です。
従業員満足度が高ければよいわけではない
ただし、従業員満足度は高ければ高いほど良い、と単純に考えることにも注意が必要です。
仕事が楽であること、厳しいことを言われないこと、希望がすべて通ることが、必ずしも良い職場を意味するわけではありません。
患者さんへ良い医療サービスを提供するためには、守るべきルールがあり、必要な教育や指導もあります。忙しい時期には一定の負担がかかることもあるでしょう。
大切なのはスタッフの要求をすべて受け入れることではなく、仕事の目的や医院の方針に納得できているか、公平に扱われていると感じているか、成長を実感できているか、困ったときに相談できるかといった働く環境を見ることです。
従業員満足度を確認する目的は「スタッフに不満を持たせないこと」ではなく、良い仕事を続けられる職場になっているかを確認することです。
患者満足度と従業員満足度を一緒に見る
患者満足度と従業員満足度は、別々に確認するだけでなく、両方の結果を見ながら医院の課題を考えることが重要です。
- 患者満足度の変化を確認する
- 従業員満足度の変化も確認する
- 両方に共通する課題を探す
- 改善後も継続して変化を見る
例えば、患者さんから「スタッフによって対応に差がある」という声が増えている一方で、スタッフ側からも「忙しくて患者さんと十分に話す時間がない」という声が出ているのであれば、接遇研修だけで解決する問題ではないかもしれません。
人員配置や予約の取り方、業務分担など、医院の仕組みに原因がある可能性があります。患者側とスタッフ側の両方から医院を見ることで、一方だけを調査していては気づきにくい問題が見えてきます。

まとめ
患者満足度を高めるために、患者さんの声を聞くことは重要です。
しかし、そのサービスを提供しているスタッフの状態を確認せず、患者さんへの対応だけを改善し続けることには限界があります。
スタッフが医院の方針を理解し、仕事に納得感を持ち、周囲と協力しながら働ける環境があるからこそ、患者さんへ安定したサービスを提供できます。
一方で、従業員満足度を高めること自体を目的にするのではなく、スタッフが良い仕事を続けられる環境になっているかという視点で確認することも大切です。
患者満足度は患者さん側から見た医院の姿です。そして従業員満足度は、そこで働くスタッフ側から見た医院の姿です。どちらか一方だけを見るのではなく、両方から医院を確認することで、本当に改善すべき課題が見えやすくなります。
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