クリニックと心理学 第5回|院長自身の心理マネジメント

これまでのシリーズでは、患者・スタッフ・組織を対象に心理学を活用する方法を見てきました。

最終回は、院長ご自身に焦点を当てます。
クリニックの経営者として日々判断を重ねる院長は、常に目に見えないストレスやプレッシャーにさらされています。心理学的なセルフケアを取り入れることで、その重圧を整理し、安定したリーダーシップを発揮できるようになります。


目次

1. 経営者が抱える心理的プレッシャー

院長は「診療」と「経営」の二重の役割を担っており、その負担は非常に大きいものです。

こうしたストレスは自然なものであり、弱さではありません。むしろ「経営者である以上、誰もが抱える当然の課題」として認識することが第一歩です。さらに、この重圧を言語化し自覚するだけでも、漠然とした不安が和らぎ、冷静に次の一手を考える余裕が生まれます。


2. セルフモニタリングで心を整える

心理学的に有効なのが「セルフモニタリング」です。自分の感情や思考を客観的に観察することで、感情に流されず冷静な判断を保ちやすくなります。

実践方法の例

「今の自分は疲れている」「焦っている」と気づくだけで、不要な衝突や誤った判断を避けられます。さらに、モニタリングの記録を振り返ることで「自分は回復できる」という実感を得られ、セルフケアのモチベーションにもつながります。


3. ストレスコーピング(対処法)の活用

ストレスに直面したときに「どう対処するか」を心理学ではストレスコーピングと呼びます。

有効な方法

ストレスはなくすものではなく、上手に「受け止め方を変える」ことが重要です。コーピングを複数持っておくことで、状況に応じて柔軟に対応でき、院長としての持続力を高められます。


4. 境界線を意識する

「院長としての自分」「一人の人間としての自分」を切り分けることも大切です。

心に余裕を持つことは、結果的に判断の質を高め、クリニック全体に良い影響を与えます。特に「経営者は休んではいけない」という思い込みを外し、自分自身のリズムを守ることが、長期的に安定した経営判断につながります。


5. 院長自身の心の安定が組織を支える

院長の心理状態は、そのままクリニック全体の雰囲気に波及します。

つまり「自分を整えること」は、最も効果的なリーダーシップです。

プレッシャーがかかる時こそ論理的思考やBSCのような“型”を活用することが有効です。 感情に流されず、フレームワークに沿って考えることで冷静さを取り戻せます。そして、そのプロセスをサポートしてくれるコンサルタントや外部パートナーの存在も、院長にとって大きな安心材料になります。


院長が自分を整えられることは、スタッフ・患者・組織すべてにとって最大の安心につながります。
日々多くの重圧を抱えながらも、現場と経営を支え続けている院長の努力は本当に大きな価値を生んでいます。
どうかご自身の健康と心の安定を最優先にしながら、これからも安心できるリーダーシップを発揮してください。

これで「クリニックと心理学」全5回シリーズは完結です。
患者さん・スタッフ・組織・院長という4つの視点を心理学でつなぐことで、クリニック経営はより安定し、持続的な成長が可能になります。

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