「医院の売上をスタッフにも公開した方がよいのでしょうか?」
医院経営のご相談を受けていると、こうした話題が出ることがあります。
経営数字を共有することでスタッフにも経営意識を持ってほしい。一方で、「これだけ売上があるなら給与を上げてほしい」と思われるのではないか、数字だけが独り歩きするのではないかという不安もあります。
実際、経営数字は公開すればするほど良いというものではありません。大切なのは、何のために、どの数字を、どのように共有するのかです。
今回は、医院の売上や経営数字をスタッフにどこまで公開すべきかについて考えてみましょう。
医院の売上や経営数字はスタッフにどこまで公開すべきか
売上だけを公開するのは注意が必要
経営数字を共有するとき、最も分かりやすいのが売上です。しかし、売上だけを見せると誤解を招くことがあります。
- 売上と利益の違いを説明する
- 人件費や材料費などの経費も伝える
- 数字だけを単独で見せない
- 数字が持つ意味まで共有する
例えば、「今月の売上は1,500万円でした」とだけ聞けば、大きな金額に感じるでしょう。しかし、そこから人件費、材料費、家賃、設備費、借入金の返済など、さまざまな支出があります。売上と院長の収入は当然同じではありません。
経営数字を共有するのであれば、数字を見せるだけでなく、その意味を理解してもらうことが重要です。
すべての数字を公開する必要はない
経営への参加意識を高めるために、決算書のすべてをスタッフへ公開する必要はありません。
- 医院全体の売上目標
- 新患数や患者数
- 自費率やキャンセル率
- 目標に対する達成状況
スタッフ自身の仕事と関係する数字を中心に共有した方が、具体的な行動につながりやすくなります。例えば、キャンセル率を共有すれば予約管理について考えるきっかけになりますし、新患数を共有すれば新患対応や再来院について話し合うことができます。
「経営数字を公開すること」が目的ではなく、「数字を使って医院を良くすること」が目的であることを忘れないようにしましょう。
数字と「自分の仕事」を結び付ける
経営数字を共有する最大の意味は、スタッフに経営者と同じ知識を持ってもらうことではありません。日々の仕事が医院の成果にどのようにつながっているのかを理解してもらうことです。
例えば、キャンセルが1件減ること、次回予約が確実に取れること、患者さんへの説明が分かりやすくなること、診療の準備がスムーズになることなど、一つひとつの行動が医院の数字につながっています。
「売上をもっと上げよう」と言われても、スタッフは具体的に何をすればよいのか分かりません。しかし、「今月はキャンセル率を○%まで下げよう。そのために前日の確認を徹底しよう」となれば、行動は明確になります。
経営数字はスタッフを管理するためのものではなく、医院全体が同じ方向へ進むための共通言語として活用することが大切です。
公開するなら継続して振り返る
数字を一度公開しただけでは、スタッフの経営意識は変わりません。
- 毎月同じ指標を確認する
- 目標と実績を比較する
- 良かった理由、悪かった理由を考える
- 次月の具体的な行動を決める
例えば、月初のミーティングで前月の数字を確認し、「なぜこの数字になったのか」「今月は何を改善するのか」まで話し合うことで、数字が日々の仕事とつながっていきます。重要なのは結果だけを発表することではありません。
数字を見ながらスタッフ自身が考え、次の行動につなげる仕組みをつくることで、経営数字を共有する意味が生まれます。

まとめ
医院の売上や経営数字は、すべてをスタッフへ公開すればよいわけでも、まったく知らせない方がよいわけでもありません。
大切なのは、スタッフに何を理解してもらい、どのような行動につなげたいのかを明確にしたうえで、必要な数字を選んで共有することです。特に、売上だけを見せるのではなく、目標や背景を説明し、スタッフ自身の仕事との関係まで伝えることが重要です。
数字を「院長だけが見るもの」から「医院を改善するためにみんなで見るもの」へ変えることができれば、経営数字は組織づくりにも役立つ道具になります。
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