「うちのスタッフは、だいたいこれくらいのことはできます」
院長やリーダーにそうした認識があっても、実際に一人ひとりの「できること・できないこと」を整理してみると、意外と把握できていないことがあります。
日常業務を問題なくこなしているスタッフでも、特定の業務は経験が少なかったり、逆に周囲が知らない得意分野を持っていたりすることがあります。
スタッフ育成を考えるうえで重要なのは、全員に同じ教育を行うことではありません。まず現在の力量を把握し、「何ができていて、次に何を身につける必要があるのか」を明確にすることです。
今回は、スタッフの力量を把握することが、なぜスタッフ育成に必要なのかを考えてみましょう。
スタッフの「できる・できない」を把握できていますか?
「経験年数=できること」ではない
スタッフの力量を、経験年数だけで判断することはできません。
- 担当できる業務を確認する
- 一人でできるのかを見る
- サポートが必要な業務を確認する
- 経験のない業務を把握する
例えば、5年間勤務しているスタッフでも、担当する機会が少なかった業務は苦手かもしれません。一方、入職して1年でも特定の業務を繰り返し経験し、高いレベルで対応できるスタッフもいます。
「○年目だからこれくらいできるだろう」と考えるのではなく、実際の業務ごとに力量を確認することが重要です。
「できる」の基準を統一する
力量を把握するときに難しいのが、「できる」という言葉の基準です。
- 一人で最後まで対応できる
- 指導があれば対応できる
- 一部のサポートが必要
- まだ経験していない
本人は「できます」と考えていても、リーダーから見るとまだサポートが必要ということがあります。反対に、十分にできているのに本人が自信を持てていないケースもあります。
「できる・できない」の二択だけではなく、どの程度まで一人で対応できるのかを共通の基準で評価することで、スタッフの現在地が分かりやすくなります。
力量を把握すると教育すべきことが見えてくる
スタッフ教育でよくあるのが、「今年は接遇研修をしよう」「新人にはこの研修を受けてもらおう」と、先に教育内容を決めてしまうことです。
しかし、本来は現在の力量を確認してから、必要な教育を決めるべきです。
例えば、説明力は十分でも患者さんの話を聞く力に課題があるスタッフと、コミュニケーションは得意でも業務知識が不足しているスタッフでは、必要な教育は異なります。
また、医院全体の力量を一覧にすると、「この業務を一人でできるスタッフが一人しかいない」といった組織上のリスクが見つかることもあります。
力量の把握は、スタッフを評価するためだけのものではありません。誰に何を教えるべきか、医院としてどの能力を増やすべきかを判断するための出発点なのです。
定期的に力量を見直す
スタッフの力量は、教育や経験によって変化します。
- 定期的に評価する機会を設ける
- 新しく習得した業務を反映する
- 面談で本人の認識も確認する
- 次に習得する目標を決める
例えば、半年ごとに力量を確認し、「前回できなかった業務が一人でできるようになった」「次はこの業務を覚える」と成長を確認できれば、スタッフ自身も目標を持ちやすくなります。また、院長やリーダーにとっても、教育の成果を確認する材料になります。
一度評価表を作って終わりではなく、育成とともに更新していくことが大切です。

まとめ
スタッフ育成を効果的に進めるためには、まず一人ひとりの現在地を把握する必要があります。経験年数や印象だけで判断するのではなく、業務ごとに「一人でできる」「サポートがあればできる」「まだできない」といった力量を確認することが重要です。
力量が見えるようになれば、誰にどの教育が必要なのか、次に何を習得してもらうのかを具体的に決められます。また、特定のスタッフにしかできない業務を発見し、医院全体の弱点を把握することにもつながります。
スタッフを育てる前に、まず「今、何ができるのか」を知る。そこから教育を始めることが、効率的なスタッフ育成につながります。
一度、スタッフ一人ひとりを思い浮かべてみてください。「何ができて、何がまだできないか」を具体的に説明できますか?
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